Canary Chronicle~カナリアクロニクル~

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映画や本のレビューや雑感、創作活動や好きなもののことなど。トリッチのあたまの中のよしなしごとを綴ります。

【映画レビュー】『大怪獣バラン』1958年

『大怪獣バラン』1958年

『大怪獣バラン』1958年

 

『大怪獣バラン』1958年:あらすじ

東北地方の北上川上流地域で、シベリアにしか居ないはずのアカスジウスバシロチョウが発見されました。
杉本生物研究所のから、所員2名が現地調査に向かいましたが、アメリカ製の頑丈なジープ毎ぺっしゃんこにされて非業の死を遂げるという事件が発生してしまいました。

研究所の魚崎、犠牲者の妹で記者の由利子、カメラマンの堀口は、現地に調査に向かいましたが、現地の民から祟りがあるから、事故現場そばの湖には近付くなと言われてしまいます。

押し問答をしているうちに、地元住民の少年の犬が、吠えながら駆けていってしまいました。
犬を追った少年が、祟りがあるとされているエリアに向かって走っていってしまったので、魚崎たちは村人の制止を振り切って子どもを救出に行きます。
そうしたら、問題の湖から巨大な謎の生物が浮上、驚き逃げ惑う人々を追って、上陸して村を破壊してしまったのでした――。

『大怪獣バラン』1958年

 

【レビュー】ものすごい怖いモノクロ怪獣映画!バランの動物らしさにキュンとくる

1958年モノクロ作品。古い東宝怪獣映画です。

結論から申し上げると、最高。めちゃめちゃこわいわこれ!!

先ず、バランの鳴き声がめちゃめちゃこわい。 初代ゴジラよりもやや甲高く、ヒステリックな雄叫び。東宝は本当にこの分野は世界最高峰と思う。
金属音と、あとチェロとかなのかな?? どこか有機的な響きを併せ持っている。ド迫力!!

そして、動きが本当に動物ぽい。この「動物としてのバラン」の表現がめちゃめちゃよかった。

バランは立ち上がったりもするけれど、基本四足歩行です。この四足歩行がとってもいい。
わたくしは四足歩行の怪獣がめちゃめちゃ好きなのです。アンギラスとかバルゴンとか。

住処である湖から浮上し、姿を現すシーン最高。
突如渦巻き始めた湖面から、ゴジラのようにズアアアとあたまが先ず現れて、それから長い尾を引きずりながら、ぐるぐる回転して浮上してくる。
こえーーー!! バラン登場時の異様な雰囲気は、本当に「こえーーー!!」と叫びながら観てしまいました。

そして何より、バランはムササビのように飛膜を使って飛翔するのですが、人類に初めて飛翔を見せるシーンがとんでもなくよかった。

『大怪獣バラン』1958年

 

あれ、立ち上がった?? ん、飛膜?? ええーーーーーーーー!! と、飛んだ!!
と、トリッチ大興奮!!!
ノソノソ這い回って破壊の限りを尽くすだけでもヤベーのに、あいつ飛ぶんだ!! まじどうしたらいいの!?!
と、恐怖せずにはいられないのに、カッコいいバランにシビれずにもいられない。ほんとに見事な飛翔お披露目シーンです。

あとクライマックス間近、大暴れして破壊の限りを尽くしながらも、人間の攻撃のダメージが蓄積してきて、弱ってきてるのが分かるのもものすごかった。 だってめちゃめちゃ暴れてるんですよ! それなのに、もう生物として弱ってきちゃってるのが伝わってくる。

バランの中の人として、手塚勝巳さんというかたと、のちのミスターゴジラ中島春雄さんの名前があるけれど、クライマックス時のバランはどちらが演じたんだろう。これはほんとにものすごかった。

あと、バランは不思議な習性があって、照明弾に注意を引かれてしまうんだけど、人間がドンパチ打ち上げている照明弾を、持ち上げたあたまをゆらゆらさせながら眺めているのを後ろから映すシーンがあるんだけど、この照明弾を見上げるバランが、本当に動物ぽかった。あれはほんと生き物のことをよく知ってる人じゃないと出来ない動きと思う。動物マニアのトリッチ、うーーーーん!!と大感激!!

なんかこの、「本気の動物らしさ」が、とっても胸にくるものがありました。

お涙頂戴的表現は一切ありません。そしてバランは惨めさなんて微塵もなく、ただひたすらにカッコいい怪獣です。

でも、この本気の動物らしさがとてもとても切ない。

ネタバレは回避したいので、わたくしが言えるのはここまでですが、ラストの衝撃度で言ったらラドンの次くらいだなと思いました。

バランーーー(TдT)

百聞は一見にしかず。是非皆様もごらんになってください!!

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