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映画や本のレビューや雑感、創作活動や好きなもののことなど。トリッチのあたまの中のよしなしごとを綴ります。

【映画レビュー】『ウィッカーマン』1973年

ウィッカーマン』1973年

『ウィッカーマン』1973年

ウィッカーマン』1973年:あらすじ

ニール・ハウイーはスコットランド・ハイランド地方西部の巡査部長です。
「行方不明になったローワン・モリソンという少女を探してほしい」という匿名の手紙を受け取ったため、飛行艇ヘブリディーズ諸島のサマーアイルという孤島にやって来ました。島民は捜査には非協力的で、「この島は私有地であり、何事も領主のサマーアイル卿の許可を取ってからにしてくれ」と言います。

島は「五月祭」の準備真っ盛りでした。
厳格なキリスト教徒であるハウイーは、島中がキリスト教徒以前のペイガニズムに支配されており、子どもの教育も、島民の歌も、非常に性的であることに強い嫌悪を覚えます。ローワンの捜査をしているうちに、ハウイーは、行方不明のこの少女は、島の淫蕩な祭りの生贄にされたのではないかと疑い始めます――。

【レビュー※ネタバレあり】アナログ胸糞ってスゲーな!精神えぐりまくり!orz【ウィッカーマン

いやーーーーこれはこれは。どえらいもんを観てしまいました。
カルト映画として名高い本作、何これホンマモンの胸糞映画やん!! こりゃスゴいわ。

以下ネタバレ全開で語りますので
未見のかたはご注意ください!!





余りにも有名なボウボウ燃えるシーンの画像をあちこちで見ておりますので、ラストは大体想像つく状態での鑑賞だった訳ですが、知ってるだけと実際観るでは大ちがい
ショックで呆然、後にぐおおおとのたうち回った次第です。

村人たちが「私有地」と呼ぶサマーアイル島は、その昔、現領主のサマーアイル卿の祖父に当たる人物が買い上げた土地でした。島民たちはサマーアイルに絶対的な服従心を持っており、スコットランド本島からやって来た巡査部長の言うことなんて聞きません。非常に閉鎖的、かつ、ミステリアスな風土。この舞台設定がまずこわい。

この島ではキリスト教は何の力も持っていません。村人たちは独特な土着信仰をしており、その影響で非常に性的です。

宿屋のバーでは、そこの娘を露骨に性的にちゃかす内容の歌が歌われ、当の娘ですらまんざらではなさそう。

そんな空気にうんざりしたハウイーが外の空気を吸いに出れば、村人たちはそこかしこで青カンしている始末。

呆れて寝ようと宿に帰れば、宿屋の娘が隣の部屋で歌いながら誘惑する。

翌朝調査に出れば、五月祭の準備中の村人たちが、ポールを囲んでまたまた卑猥な歌を歌っているし、学校に立ち寄れば教師が少女たちに、あのポールの象徴は、男根よぉ!とか授業で言ってるし、村の乙女たちは、ストーンヘンジのような巨岩の周りで、素っ裸で踊り狂っています。

『ウィッカーマン』1973年

対する主人公、ハウイーは、めっちゃやなやつ!!

ちょうぜつお堅いキリスト教原理主義者、その上警察権力を笠に着て、クッソえらそうです。
観ながら何度もばかーーーーて叫んでしまった。
居丈高に命じるかたちで、あんな閉鎖的なクソ田舎で捜索活動が出来るはずもない。お前捜査向いてないよ、んもーーーーーばかばか溶け込む努力しろ!!って何度もイライラしちゃいました。

特に最初に墓地に訪れるシーンがめっちゃやな感じ!!

『ウィッカーマン』1973年

墓石の上に、大量のひよこが入った箱を置いて授乳しながら弔っているご婦人が居るのですが、微笑みながら玉子を差し出す彼女を無視したハウイーは、ひよこの入った箱を荒々しくはらいのける!!

そして苛立ちながら、その辺の木切れを拾って、急づくりの十字架にして墓に乗せて立ち去っていきます。この尊大さ、そして押し付けがましさ。キリスト教はおめーの信仰かもしれねーがこのご婦人はちげーんだよ、しね! と思いました!!

長身の、謎の領主サマーアイル卿は、ドラキュラで有名なクリストファー・リーが怪演。不気味かつ不思議と高貴な彼は、この役にピッタリですね!! 女吸血鬼カーミラ役で有名なイングリット・ピットも出てる!! スゴい共演だなこれ。

『ウィッカーマン』1973年

何度も何度も差し挟まれる牧歌的かつ卑猥なフォークソング。祭りのための異様な仮面。繰り返される誘惑。風光明媚なこの土地で、まるで存在そのものがなかったかのように語られる行方不明の少女。ハウイーと一緒に、観ているこっちも島の深部の、闇の中へと誘い込まれてゆきます。

『ウィッカーマン』1973年

いやーーーこれはショックだわ。

引きずられていった海に臨む断崖絶壁に、巨大なウィッカーマンが立っているシーンは、戦慄以外の何物でもありませんでしたね!! そして日没に燃え尽きるよう采配されたウィッカーマンが、紅蓮の炎に包まれて、夕焼けを背にしてボクッと折れるシーンは、トラウマとなってわたくしの脳裏に焼き付いてしまいました。おお、何という、何という。

いやーーーーースゲーわ。本当に久しぶりに、本気で怖い洋画を観たあとの、ズーンとした後味を感じてしまいました。

こわいわーーーーーーー!! 神よ、出来るだけ少ない苦痛を。さもなくば狂気を!!

ンギャーーーーー!! まじでム・ナ・ク・ソ。'70年代の胸糞映画、突き抜けてるわ。
CGとか一切ないアナログっぷりが、またいい味だったと思います。このアナログっぷりが本作のこわさの源泉でもあるような気がする。

ニコラス・ケイジの2006年版は観てないけど、これは超えられんのじゃないのかね。

これだけ胸糞って繰り返しておいてアレですが、最高。好き!!

トリッチ・メーター95/100って感じです。あやしげかつインチキなフォークロアが、めちゃくちゃ好みでありました。

機会がありましたら、皆さま是非一度ご覧になってみてください!!

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