『ダーク・ハーフ』1993年
『ダーク・ハーフ』1993年:あらすじ
サッド・ボーモンドは純文学の作家。でもあんまりぱっとしなくてそれだけじゃ食べられないので、大学で講師なんかもしています。
で、サイドビジネス的に、ジョージ・スタークという別名でバイオレンス小説も書いてみたらこっちが大当たり! 売れっ子作家となってひと山当ててしまいました。 幸い純文学の方も認められそうな兆候が出てきました。
そんなある日、ジョージ・スタークの正体はサッド・ボーモンドであると知ったチンピラ、クローソンから、サッドは恐喝されてしまいます。
悩んだ末にサッドは、出版社と一緒に「ジョージ・スタークの葬式」というふざけた企画に出て、自ら正体を明かした挙句もう二度とジョージ・スターク作品は書かない、と宣言しました。
ところが、その直後から、「ジョージ・スタークの葬式」に関わった人間が次々と惨殺されるという事件が勃発、現場にはサッドの指紋が残っているなど、不可解なことが続きます。サッドは架空の自分の半身、ジョージ・スタークが実体化したと確信、警察から連続殺人の犯人と疑われながらも、ジョージ・スタークと対決する決意を固めます。。。
【レビュー※ネタバレなし】悪しき半身、あたいも欲しいわぁってなります【ダーク・ハーフ】
スティーブン・キングの小説の映画化! 監督はゾンビで有名なジョージ・A・ロメロ! ロメロ監督追悼のつもりで観てみました。
わたくし大学時代に原作読みまして、大好きなんですけど、ほぼ原作に忠実に映画化されてると感じました!
効果の点では、スズメの大群どうするつもりなんだろうと思いましたが、実写とCGを合わせてなかなか上手に再現出来てたと思います。またロメロっぽい血みどろグジャグジャは、冒頭の主人公の脳の手術シーンと、クライマックスでスズメについばまれてグギャー!てなってるシーンにて堪能出来ます。
サッドとジョージはティモシー・ハットンが一人二役で熱演。
清潔なヒョロガリ文系のサッドと、ゲスい雄っぷりを振りまくジョージ。わたくし鑑賞後にwikiを見るまで、一人二役と気付きませんでした! 顔付きからちがってましたもの。役者ってスゴいもんですね。わたしはゲスいジョージの方が断然好きですね。
原作の大好きシーン、編集者のリックを、彼の住むマンションの廊下でジョージが惨殺した直後に警官2名が到着してしまい、虎のような眼付きでジョージが観葉植物の後ろに隠れる→うわっこりゃひでぇ!と警官が死体に気付く→警官たちが乗ってきたエレベーターにジョージがスッと乗り込み、「何だ貴様は! 止まれ!」と言われるが、バイバイ。と手を振った直後にエレベーターのドアがチーンと閉まり、ジョージが逃げおおせる、が、きちんと再現されていたのはめっちゃうれしかったなぁ!!!
どういう訳でさ、もう一人の自分が実体化しちゃったのよ、て部分の説明は、原作同様ないです。
そしてわたしだったら、ジョージを拒絶するのではなくて取り込みたい。サッドとジョージが統合されるところが観たかったけど、そうじゃないんだなぁ。そこがちょっと物足りないところであります。
また、随所から匂ひ立つキングてんてーの「書くということ、は、だなぁ……!!キリッ」という思想がひっじょーーーに鼻に付き、うわっめんどくさ!!とつい口走ってしまう部分はありますが、とてもよい映画でした。
黒づくめのジョージカッコいいよジョージ。ジョージのフィギュアちょう欲しい。
いまんとこないみたいだけど、ロメロ追悼の意味も込めて、是非生産してほしいところです!!
てか、作家じゃなくても、自分の悪しき半身=ダーク・ハーフがあればいいなと、みんな憧れるんじゃないかな。わたしは欲しいですね。いっそそっちの半身に、全身でなってしまって生きてみたい。そんな秘めた憧れを、身悶えしながら感じるのが楽しい映画です。