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【映画レビュー】『イベント・ホライズン』1997年

『イベント・ホライズン』1997年

『イベント・ホライズン』1997年

『イベント・ホライズン』1997年:あらすじ

2047年。救助艇ルイス&クラーク号は海王星へと向かっていました。クルーたちはクリスマス休暇返上になりそうなスケジュールなので文句たらたら、同行しているウェアー博士を冷遇しています。特に怖いもの知らずで有名なミラー船長は、博士を素人で足手まといと思っているようで、邪険にしています。

『イベント・ホライズン』1997年

ギスギスした空気の中、クルーたちは全員重力タンクに入って眠りにつきます

『イベント・ホライズン』1997年

航行56日後。目覚めて重力タンクから出たクルーたちは、ウェアー博士から今回の任務の説明がありました。7年前に消息不明となった「イベント・ホライズン」号が再び海王星付近に姿を現したため、事故の原因調査とクルーの救助をしなければならないとのことでした。

ウェアー博士は「自分がイベント・ホライズン号の設計者だ」と告白します。そして現在、イベント・ホライズン号とは連絡を取ることが出来ないのだが、追跡衛星が受け取った電波があると言って皆に聞かせます。それは強風の中で大勢の人間が泣き叫ぶような不気味な音声で、気味の悪いラテン語のような言葉も聞き取れました。クルーのDJはラテン語でリベラテ・メ、つまり助けてくれと言っているのではないか」と助言します。

『イベント・ホライズン』1997年

やがてルイス&クラーク号はイベント・ホライズン号に到達、クルーたちは乗り込んで調査することになります。そして阿鼻叫喚の悪夢が幕を開けるのでした――。

【レビュー※ネタバレなし】宇宙の静寂と疾走する悪夢【イベント・ホライズン】

サム・ニール大好きなわたくしが「ブッ飛んだサム・ニールを観たい!」という一念だけで観てみた訳ですけども、ひとことで言うと最高でしたね!

まずビジュアルが圧倒的。「映画館で観なかったことを後悔」する類の迫力&映像美でした。
不気味な巨大宇宙船「イベント・ホライズン」号に乗り移るところからもう手に汗握ってしまいます。オレンジ色の巨大な中央通路、機関室に向かう「ひき肉機の中みたい」な通路、そして圧巻の「コア」、機関室!! 何もかもが巨大で、しーんとしているファーストコンタクト。この静寂が否が応でも恐怖と緊張感を煽り立てます。それでいて、めちゃくちゃ美しい。

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『イベント・ホライズン』1997年

イベント・ホライズン号に乗り込んだピーターズが、装置を起動させて重力を発生させるシーンがもう大好きすぎる。イベント・ホライズン号内部の巨大な空間に浮かんでいた全てのものが、ドカーン、バッシャ―と全て床に落ちてくるのですが、もうこの迫力はほとんど官能的といっていい程の気持ちよさ。球状になって浮かんでいた冷却水は、突如水となってバシャーッと落ちる。眼玉をくり抜かれた謎の死体も、(凍っていたので)ドカーンと床に落ちて粉々に砕け散る。素晴らしい。何度でも観たい名シーンです。

地球からめっちゃくちゃ遠い海王星付近っていう設定もまた怖い。もうこの静かな出だしから既に、阿鼻叫喚の予感がしています。怖い怖い。最高。

一転してスリリングな展開になるのは、クルーの中で最も若い機関士、ジャスティンが「コア」に吸い込まれて吐き出されるという事件があってから。ジャスティンは意識不明の重体となり、その時にコアから発せられた衝撃派で、ルイス&クラーク号も破損してしまいます。大慌てで修繕に乗り出すクルーたち。同時にイベント・ホライズン号の探索も進められ、恐ろしい事実が明らかになり……「コア」が見せる幻覚も恐ろしく、それぞれの胸の中の最も酷いトラウマを引っ張り出して、強烈なバッドトリップにクルーたちを引きずり込みます。

それにしても、洋画を観てるとつくづく「キリスト教圏の人に対する、キリスト教の支配力の強さ」を感じますね。『イベント・ホライズン』にもそれを強く感じました。我々異教徒の人間にとっては、「地獄」や「魔女」ってオカルトやファンタジーの領域であり、ふーんて感じになっちゃいますが、キリスト教圏の人にとっては、本当に恐ろしい、トラウマ級の恐怖の対象なんだなぁと驚いてしまいます。この部分はネタバレに抵触しているので、こちらではこの位にしておこうと思いますが、「洋画とキリスト教」については、いつかじっくりと映画ファンの皆さまと語り合ってみたく存じます。

『イベント・ホライズン』1997年

そんな感じで、非常に美しく、しっかり怖かった『イベント・ホライズン』、わたしの大好き映画になった訳ですが、惜しい点がちょっとだけ。

クライマックスの恐怖表現が、既存の超有名ホラー作品に酷似しちゃってるんですねorz

からだのあちこちにフック引っ掛けて、チェーンでビヨーンと吊り下げられるのは「ヘルレイザーきたああああああ」と声に出して叫んでしまったし、ミラー船長の悪夢に出てくる男は、同じくヘルレイザーのフランク叔父さんそっくり!w そしてクライマックス付近の真っ赤な液体ドッパーン!は、言うまでもなく「シャイニングかよおおおおおおお」でした。

『イベント・ホライズン』1997年

いやもうほんと怖くて最高なんだから、見せ場はもっとこう、オリジナリティあふれるグロ表現にしてもらいたかったですね!! わたしのようなドグサレホラーファンは元ネタ分かっちゃうんだよ!! あ、これ、大好き残念ホラー『ヒルズ・ラン・レッド』でも同じこと感じたな(笑)。オマージュは上手にやってくれ!! ここでオマージュきたあああああって納得出来るかたちでないと、パクリにしか見えん!!

あ、でも、『イベント・ホライズン』も『ヒルズ・ラン・レッド』もクッソ大好きです!!
大好きであるが故にちょと厳しく言ってるだけです(^皿^)

めちゃくちゃ怖いっていう点では、『イベント・ホライズン』100点満点中200点でした!
ほんとに怖い洋画を観たあとの、ずっしりとした重い気持ちを、鑑賞後存分に味わうことが出来ました。

ジュラシック・パーク』では恐竜大好き善いおじさんのサム・ニールの、ブッ飛んだ狂いっぷりも非常によき。この人はこういう変態役が非常によく似合いますね。

宇宙大好き、SF大好きな皆さんも、心ゆくまでお楽しみいただけると思います。 オレ的にはSWよりも断然イベント・ホライズンです。

是非一度ご覧になって下さい!!

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