【あらすじ】映画かよ。Like in Movies 第48話「バッドティーチャー」
何やらソワソワと、人待ち顔のミノルは、「仲真センセ♪」と声をかけられると、ぱっと顔を輝かせます。
「おーーーー知里佳ちゃーん!」
そう、声をかけてきたのは、ほかでもない知里佳ちゃんでした。
知里佳ちゃんとは、映画かよ。Like in Movies 第12話「スクールオブロック」において、ミノルが臨時講師をつとめた映画専門学校で出会ったJKで、脚本を書く突出した能力を持った子でした。が、思想が危険で、脚本エージェンシーの杜さんから、厳重注意を受けたという経緯があります。
今何してんのー?というミノルの問いに対して、ゴーストライターをしている、という、あいかわらずギリギリの返答をする知里佳ちゃん。
しかし最近、彼女は、「人から言われたように書くのに嫌気がさしちゃったので、オリジナルも書いている」と言います。
え、どんな!?と、身を乗り出すミノル。
ミノルは、彼女がちょっとあぶない子であることは重々承知していましたが、同時に、優れた脚本を書くということも知っているので、彼女の新作を、見たくてたまらないのです。
知里佳ちゃんが書いているのは、ハイスクールものということで、ますます鼻息が荒くなるミノル。何故なら、アメリカンハイスクールものは、ミノルの大好物であったからです!
しかも知里佳ちゃんは、よりリアルなハイスクールものを書くために、なんと現在生徒と偽って、ある高校に潜り込んでいる、と打ち明けます。
驚き、呆れるミノルでしたが、あろうことか、知里佳ちゃんから、父親のふりをして三者面談に来てほしい、と頼まれてしまい……!?
【レビュー※ネタバレなし】映画かよ。Like in Movies 第48話「バッドティーチャー」
やった! 知里佳ちゃんと再会できるぞ!
あーーーーーーおもろかった! ゲラッゲラ笑ったわ!
そして、とってもうれし!!
映画かよ。Like in Movies 第12話「スクールオブロック」、そして第23話「リベリオン」に出演した、才能あふれるJK脚本家、知里佳ちゃんが、映画かよ。に帰ってきた!!
あの頃は「たまご」だった知里佳ちゃんですが、とっくに高校を卒業し、今ではプロの脚本家になっているようです。
ゴーストライターとはいえ、大ヒットを飛ばしたり、カンヌですら評価されている模様。
でも、ぶっとんだ性格はあいかわらずで、今回はなんと、創作のために「偽高校生」として、高校に潜り込んでいる、と打ち明けます。
そしてあろうことか、ミノルに、保護者のふりをしてほしいと頼み込む始末です。
「仲真センセイは、わたしの夢を手伝う義務があるんだからね」
と押し切られてしまったミノルは、のこのこ保護者面談まで出向くことになってしまいます。
あの知里佳ちゃんが、ミノルに対して、こんなに強い態度になってうれしい(笑)
自分の才能に、あふれるような自信があって、でも未熟ゆえに、犯してはいけないあやまちを犯し、そのことを指摘されて感情的になったり、あまつさえ闇落ち(笑)までしていた知里佳ちゃんですが、競争の激しい業界で見事に生き延び、ゴーストとは言え大きな成果をあげたことで、よりしたたかさを増していたようです。
第23話の、闇落ちの部分は特に説明もなく(笑)、いつの間にか立ち直っていたのが、わたくしはとてもうれしかった。
今後も映画かよ。名物「癖つよ助演キャラ」として、生き生きと映画かよ。ワールドを、引っ掻き回してくれそうです!
そしてヤベぇ女がもう一人。癖がつよいにも程がある!(笑)
そして今回、映画かよ。ワールドに、またしても癖がつよすぎる新キャラが仲間入り!
それは、知里佳ちゃんの先入先の高校教師、柚月先生です。
一見真面目で、教育熱心な教師に見えますが、実は彼女、とんでもない曲者です。
映画の話で意気投合したミノルに、実は自分も創作活動をしている、小説を書いている、と明かしてくる柚月先生は、
「ミノルさん、読者第一号になってくれませんか!!」
と、持ちかけてきて、ミノルを「師匠!」と呼んで持ち上げ、ミノルが勧める映画を全て観て……となりますが、そこからの暴走がとんでもない。
登場した瞬間の「真面目な女性教師」から、どんどん狂気を孕んでゆく演技には、目を見張るものがあります。あぶなっかしいやら恐ろしいやらで、目が離せない!
彼女の存在が、本作をサスペンスたらしめていると言って過言でない。
ほんっとーに、駒谷揚監督は、笑えるサスペンスが上手だなーと思います。
是非新キャラ、柚木せんせーの暴走を、見届けてください!
元祖暴走女と言えばこの人。亜美ちゃんにも注目!
そして暴走と言えば、オレたちの亜美ちゃんですよ。
今回の亜美ちゃんは、短い出番ながらも、確実に、深々と爪痕を残していくので必見!
シリーズが進むにつれて、なんかとってもいい子であることも分かってきて、すっかり皆さんお忘れかもしれませんが、第1話「ユージュアルサスペクツ」、第7話「美女と時計とアブナイお願い」、そして第15話「M」と、オレたちの亜美ちゃんは、元々はかなりの暴走キャラです。
竹を割ったような性格で、ブラックオアホワイト! オールオアナッシング!って感じで、「言いたいことあるなら本人に言ったらいいじゃない!」と、起さんでいい揉め事を起こしかねないめんどくささがある女でした。映画かよ。初期の亜美ちゃんは。
今回の亜美ちゃんは、そんな「初期亜美」を思い起こさせるような暴走っぷりで、な、なつかしー!って、わたくしはなりました!
初期映画かよ。が大好きなあなたには、今回の亜美ちゃんはめちゃめちゃはまることでしょう。
今回亜美ちゃんは、ものっすごい爆笑シーンがありますが、わたくしとしては、ここは予備知識ナシの状態で皆さまに見ていただきたいので、敢えて明かさずにおきます。
創作活動。この業深き衝動よ
そして今回、本作のテーマとなる部分は、「創作活動って業が深いよね」っていうことなのかな、と思っています。
駒谷監督は、これまでも映画かよ。の中で、繰り返しこのテーマを扱ってきました。
知里佳ちゃんは「結果的に面白い創作物ができるならいいじゃない」という考えの持ち主で、今回のように、取材と称して高校に潜り込んだり、前作では「完全なフィクションなのに、実話と偽って作品を世に出す」など、モラル的にかなりあやうい部分を持っていました。
そして今回初登場の柚月先生も、創作活動に夢中になるあまり、人としてそれはどうなの?って部分を、たやすく踏み外したりしています。
作品は、もちろん面白い方がいいに決まっている。
しかし、面白いものができるのなら、何をしてもいいのでしょうか?
この部分、駒谷監督自身の答えは、「ノー」なのだろうな、と推測します。
どこまでを「イエス」と「ノー」の境界線とするかは、人それぞれなのでしょうが、やっぱり人として踏み外すのは、いかがなものなのだろうか。
本作を通して、駒谷監督は、そう問いかけているのだ、と思えてなりません。
そして駒谷監督が、このようなモラルの持ち主なればこそ、我々は、安心して映画かよ。を観て、ゲラゲラ笑っていられるのだ。とも思います。
是非皆さまも、安心して、映画かよ。Like in Movies 第48話「バッドティーチャー」の笑いに、身を委ねてきてください!!