【あらすじ】映画かよ。Like in Movies 第51話「ペイフォワード」
映画かよ。Like in Movies 第44話「パルプフィクション」でのサホとのデート(?)で、危機を乗り越えたミノルは、「ペイフォワード」という考えにすっかり魅了されていました。
ペイフォワードとは、映画『ペイ・フォワード 可能の王国』に出てきた、「社会をよくするため」のシステム。
つまり、誰かに親切にされたら、別の三人に親切をお返しして、またその三人が別の三人に……というふうにして、親切の輪を広げていこうという考え方でした。
手始めに、最も身近な友人である亜美に、ペイフォワードを持ちかけるミノル。
最初は渋った亜美ですが、美帆と話したあと、レンタルしたVHSの返却を頼んでくれました。
で、返しにいった渋谷で、ミノルは映画かよ。Like in Movies 第29話「パーソナルショッパー」にて、「パーソナル映画アドバイサー」として雇われていた、ヒバリ社長と再会するのですが……。
【レビュー※ネタバレなし】映画かよ。Like in Movies 第51話「ペイフォワード」
陰キャにはハードルが高すぎる
あっはっは! あーおもろかった!
いいですね。実に映画かよ。らしいドタバタ劇で、「どーなるどーなる!?」と笑いながら見ているうちに、あっという間に終わった!
コンパクトで皮肉が効いているコメディです。
ペイフォワードですが、これ、そもそもミノルや亜美にはハードルが高いよねー、というのが第一の感想。
映画に憧れて、いろんな騒動を起こすミノルですが、今回は珍しく善き行いをしようとするんだけど、ペイフォワードって、めっちゃコミュ力必要じゃない??
アイディアはいいのよ。
いいことひとつしてもらったら、別の三人に、自分が今度はいいことをする。 で、された人は、また三人にいいことをして、って感じで、親切を連鎖して広げようってのが「ペイフォワード」の基本なんだけど、
陰キャには、まず人様に「してほしいこと」を聞き出すのが難しい。
本当に相手が望んでることを知ることができないと、ただの空回りになりそう!
更に、「あなたはあなたで、三人にいいことをしてください」ってお願いすんの、まじ難しくない!?
ふつーに「は? ヤダよめんどくさい」ってなりそうだし、なんか、「いいことなんだからあなたもしてください」って、言い方によっては、もんのすごく押し付けがましくなりそー!
ミノルはともだち多いし、いいやつだけど、空回りはミノルのお家芸みたいなもんだし、難しいんでないかねーと思っちゃったわ。
劇中では亜美ちゃんも「三ついいことするって難しくない!?」って言ってます。
それに対して、オレの美帆は「え、難しくなくない? そのくらいふつーにするでしょ」っていう。さすが美帆だぜ!
そ! 美帆ちゃんは、息をするように自然に、ふと気付いたときに「小さな親切」を成すことができるのです。
美帆ちゃんは、基本的に陽キャだし、常識もあるしコミュニケーション能力も高いので、いざペイフォワードをやるとなったら、一瞬でクリアできそうです。
現在は弁護士を目指して勉強中であることからも、人の気持ちや状況を汲み取って問題解決の方法を考えることは、得意そうです。
美帆ちゃんは、明らかに亜美ちゃんやミノルとは人種がちがう。
逆に言うと、基本的に陰キャなミノルには、ペイフォワードは非常に難易度の高い善行である、ということができそうです。
それでも「善行の連鎖」を信じる
てな訳で、言うは易く、行うは難しって感じのペイフォワードですが。
これ、皆さんは、実現可能だと信じることはできますか?
わたくしトリッチ個人の意見としては、「信じることができる」と、断言しちゃいます。
劇中のミノルや亜美のように、最初はうまくいかないことでしょう。
でも、断られたり、笑われたりしながらも、コツコツ続けていくと、ある日突然「あのときのあれが! こんなに広がっていたなんて!」って思う瞬間が、来るような気がします。
人の悪意や、誘惑に弱い様子は、ドラマティックゆえに様々な芸術作品で描かれ続けておりますが、一方で、人の善意というものも、そんなに弱いものではない、ということを知る機会にも、生きているとたくさん遭遇するからです。
例えば、中村哲医師の、アフガニスタンでの活動。あんなに広大な砂漠をオアシスに変える偉業、成し遂げられるなんて信じられない。
あと、こちらは映画の話になっちゃいますが、『ダークナイト』のフェリーのエピソード。あれはほんとスカッとしますよね。市井の人々の善意がカッコよすぎて、イヤッホー!と叫びたくなるシーンです。
善意って、難しく考えると難しくなるような気がする。
そして、ちょっとうまくいかないくらいで諦められるような、そんなにやわなもんではないのではないか、と思うのです。
おそらく駒谷監督も、そう思っておられる。
何となく思うんだけど、駒谷監督は、友情ってものをいちばんに信じていて、その信条の派生のような感じで、人の善意も信じているような気がする。
彼は甘ちゃんではないから、お花畑脳で「人は優しいものよっ!」とか思ってることはないだろうけど、ギリギリのところでよい選択をするみたいな善意には、信頼を置いてそうな気がします。
だから我々は、何となく安心して、映画かよ。が楽しめるのではないか、という気がしています。
魅力的なゲスト、ヒバリさん再登場!
今回の映画かよ。は、珍しく新キャラクターは登場しません。
が、めっちゃうれしいゲストが再登場します!!
それは、映画かよ。Like in Movies 第29話「パーソナルショッパー」に登場した、やり手の女社長、ヒバリさんです。
ヒバリさんは、ECサイトを運営する敏腕経営者でしたが、映画から影響を受けすぎるという弱点が露呈していました。
あっけらかんと明るく、ビジネスには剛腕を振るうものの、私生活ではちょっぴり依存的な性格のヒバリさんを演じるのは、「柿喰う客」で大活躍中の七味まゆ味さん。非常に魅力のある、実力派の役者さんで、わたくしトリッチも大ファンなのです!
七味さんは、駒谷揚監督の短編映画『quitter』でも主役を演じておられて、八分という短編ながら、胸がズキッとするような、鋭い切れ味の演技で魅了してくださいます。
本作、映画かよ。Like in Movies 第51話「ペイフォワード」では、ヒバリさんは、ミノルのペイフォワードに巻き込まれて、まさかのあの人と激突することになります。
自分たちのせいで、二人が大喧嘩になるのでは、と恐怖するミノルと亜美ですが、その運命は如何に!?
是非本編を見て、確かめてきてください!!