【あらすじ】映画かよ。Like in Movies 第50話「キューティブロンド」
切迫した表情で、亜美と落ち合う美帆ちゃん。
「昨夜、こわい夢を見たの」
どうやら、亜美に協力してもらい、夢のシーンを再現して、
その先にあるものを見ようとしているようです。
緊張した面持ちで、角を曲がると……ひょっこりとイケメンが現れました。
「れい……じ……?」
驚いた表情をする美帆。
このイケメンは、美帆の最愛の彼氏、リッチーと、府中刑務所で同室だった相間玲司という男でした。
実は美帆ちゃんは、1週間前に、玲司と出会っていました
玲司は、「俺のことは忘れて」というリッチーからのメッセージを、美帆に届けていたのでした。
美帆は、歓迎できないメッセンジャーこと玲司を、警戒した表情で見つめます。
「ごめん!」
突然謝罪する玲司。
彼は、自分の言い方が不躾すぎたことを詫び、話がしたいからお茶でも、と美帆を誘うのでした。
しぶしぶ応じる美帆。
しかし話してみると、わずか13分で意気投合し……!?
【レビュー※ネタバレなし】映画かよ。Like in Movies 第50話「キューティブロンド」
分かりみが深すぎる! 爆笑に次ぐ爆笑の、美帆の恋愛騒動記
あっはっはっは!!!! あーーーー笑った笑った!!!!
今回は、みんな大好き、美帆ちゃんの恋愛回です。
府中刑務所で服役中の最愛の彼氏、イケメン☆リッチーのジェイルメイトだったイケメン、相間玲司が美帆の下へ訪れることから、今回の物語は始まります。
玲司からリッチーの伝言を受け取るも、それは
「俺のことは忘れて」
という、無情なものでした。
有り得ない! 美帆はリッチーのために、転職までして司法試験に挑んでいるというのに!
もちろん、こんなメッセージを持ってきた玲司を敵視する美帆ちゃんでしたが、話してみると、彼は非常にいいやつで、とても気が合う。
で、美帆の次の男探しを手伝うとまで申し出てくれて、一緒にボーイハントに乗り出しているうちに、美帆ちゃんは玲司自身に惹かれ始めてしまいます。
美帆の心情は、エコーが掛かった心の声で表現されるのですが、これがもう可笑しくてたまらない!
あーでもない、こーでもないと、煩悶する心の声が行き着くところが、
「うそ! 私、あいつのこと、好き////」(意訳)
分かりみが深すぎて大爆笑でしたwwwwwwwwwwww
そそそ! 押しも押されぬ恋愛至上主義、隙あらば恋に落ちようとする、脳ミソどっピンク女ってこんなふー!w
心の声が導き出す結論は、いつだって恋!
何故分かるかというと、ほかでもないわたくしも、どっピンク脳の恋愛至上主義者だからです。
はーもー共感しかないわ! やっぱ美帆ちゃんがいちばん好きッ! キャインキャイン!!
ど、萌え狂ったことであります。
快楽主義者は本質的に、裏切り者であるということ
そして相変わらず、美帆ちゃんの、亜美の扱いがヒドい。
美帆は第35話「ミッドナイトラン」では、リッチーと暮らすために、以前からリッチーとのことを反対していた亜美との関係を、完全に断ち切って行方をくらますという荒業すら繰り出したことがあります。
美帆のことを、真実心配しているのは、亜美ちゃんの方なのに。
美帆ちゃんはそのとき、誠実な親友である亜美ちゃんではなく、どこの馬の骨とも分からない、犯罪者のリッチーを選んだということになります。
今回は、奇妙な夢を見たと怯えて、その夢の続きを確かめたいという荒唐無稽な無茶ぶりで、亜美ちゃんを呼び出したり、玲司にリッチーを諦めろと言われた!とふてくされては、路上飲酒に付き合わせたりするのですが、そのくせ「亜美には分かんないかー」と、恋愛マウントをかましたりします。
男を優先した挙げ句、縁切り同然の失踪をしたり、上から目線でしょーもないマウントをぶちかましたり。
それでいて、話を聞いてほしくなったときには「相談」という名目でともだちにすり寄るし、しかもまさにその相談の最中でも、「もしかして、私が気に入っている玲司を、亜美もちょっといいと思っているのか?」という疑念が浮かんだ途端、急に気持ちがザワザワし始め、亜美にも紹介しようか?と、余裕ぶりつつ、「合うはずないか! あんたと玲ちゃんが!」と、またまたマウントを取ったりする。
人によっては、美帆ちゃんは、とんでもない性悪女に見えることでしょう。
でもわたくしは、そんな美帆ちゃんが、とてもいとしい。
美帆は何よりも男が大事。
ともだちが大切でない訳では、決してありません。
だってともだちは、男なんかより数千倍誠実で、思いやりがあり、美帆が心底から参っているときに、しっかりせよと抱き起こしてくれるのは、ほかでもないともだちだし、何もできないときには、慈悲深い瞳でそっと見守ってくれるのもまたともだちです。
美帆だって、そんなことはよく分かっている。
それでも美帆は、ともだちの誠実さよりも、男がくれる快楽の方が好きなのです。
それはセックスに限った話ではなく、男と居るときの、キャッキャウフフのざわめき、うっとりと見つめ合う瞬間の充実感、そして「どや! わい、いい男とつるんでるやろ!」と、周囲にデモンストレーションするときの高揚感、これら全てを友情と測りにかけたとき、どうしたって男の方が好き! という、偽らざる本音に、正直に従っているだけなのです。
恋愛至上主義者であるということは、快楽主義者であることと、ほぼイコールです。
そして快楽主義者は、本質的に裏切り者でもある。
男=快楽のためなら、友情どころか、親兄弟、子どもだって裏切るし、かように神と崇めたおチンポさまでさえ、もっと上位のチンポが現れたら、裏切る。
それが、快楽に身を捧げるものの宿命であります。
身を焼くような快楽と、しずかな幸福は、共存できないからです。
快楽の女神は、快楽以外の全てを奪う。
快楽の女神から、本物の快楽を受け取るための方法は、ただひとつ。
とびきりの破滅に予約を入れておくこと。
これ以外の方法は、ありません。
エピキュリアンの老後には、茫々たる孤独の荒野が広がるのみです。
男が居ればほかは何も要らない!が信条だとしても、残念ながら、めくるめく恋の狂乱は、必ず、ごく短時間で終わりを迎えるし、やがて男たちと関係を持てなくなるほど老いさらばえたときには、それまでの生き方の代償として、家族からも友人からも見放されているものだからです。
それでもその、茫々たる荒野のど真ん中で、スッと背筋を伸ばし、端然と正座をしているクソババアに、わたくしはなりたい。
快楽のみに従い、全てを捨て、全てから捨てられてなお、真っ直ぐな瞳とたたずまいで、ノーリグレットとうそぶく。
それこそがエピキュリアンのダンディズムというものでしょう。と、信じてやみません。
以前からの繰り返しになりますが、わたくしは美帆ちゃんに、このダンディズムを感じる。
だから美帆ちゃんこそが、映画かよ。ワールド随一の漢、真の漢と思うのです。
漢とは、単に生物的な性別をあらわすにあらず。
神に突き立てる中指のごとき、怒張した心のチンポを持つということ。
美帆ちゃんは、疑いようもなくそれを持っています。
だからわたくしは、美帆ちゃんが常にイチオシなのです。
エピキュリアンのダンディズムと、カワウソのスピリットを持つ女
わたくしが、更に美帆ちゃんをリスペクトしてやまない理由は、わたくしにはない懐の広さを、彼女が持っているためであります。
美帆ちゃんは、「亜美は玲司に気がある……?」と一瞬思っただけでも、ザワッとした気持ちになってしまうけれど、大いに煩悶したのちには、「いいわ、一緒に愛しましょう」みたいな、奇妙な包容力を持つに至る傾向がある。
まぁ亜美ちゃんが玲司を、というのは、単なる憶測(邪推?)だった訳ですが、かつて世莉とは、弁当屋の跡取り息子を取り合ったにっくき恋敵同士だったのに、後に再会して、世莉の悩みと孤独を丸ごと受け入れ、ともだちになってしまったりしている。
美帆は今回の第50話「キューティブロンド」でも、同じような懐の広さを見せてくれます。
美帆ちゃんのスピリットアニマルは、カワウソにちがいない。
「スピリットアニマルて何なんだよ」という貴方に説明すると、ネイティブ・アメリカンの伝承ですよ。
ネイティブ・アメリカンには、万物に精霊を見出し、畏怖し、称え、かつ親しんで生きてきた文化があることは、貴方さまもご存知のことと思います。
で、彼らは、自分の人生のガイドをしてくれる動物ってものを、掲げているんですね。
で、カワウソですが。
カワウソは、女性性の象徴であります。
しかしその性質は、近代的な文明社会から見ると、ひどく変わっている。
あそび好きで、愛情深く、コミュニティを愛し、コミュニティから愛され。
家族の垣根を取り払い、みんなで慈しんで子どもを育てる、のはいいんだけど、
男すら「みんなで楽しみましょう」なんですよ。
つまり、自分自身もたくさんの男と寝るけれど、一人のイケメンもまたみんなで共有するのです。
カワウソのスピリットは、嫉妬しない。
ええーーーーですよ。ぶちキレがちなわたくしにとっては。
美帆ちゃんは、ザワッとしたり、不愉快になったり、マウント取ったり、最初のうちこそそーゆー当たり前の反応を示しますが、相手を知る過程で、いつの間にか相手を丸ごと受け入れ、「一緒に愛しましょう」になってしまう。
この点が、わたくしとは大いにちがっている。
で、思った訳です。「これはカワウソのスピリットだ」と。
ヤバいね! なんていい女なんだ!
エピキュリアンは、自分が嘘つきで裏切り者だから、翻って誰一人信じられないというハードモードの人生を生きがちだけど、
美帆ちゃんはそこから一歩進んで、裏切るし、裏切られるけど、そんな自分も相手もオールオッケー、いいやもうみんなで愛し合おう? みたいな包容力と強さまである。
最強じゃね?? オレの美帆サイコー!
そこにシビれるッ憧れるぅッ!!
ヤッベ。これはもはやフィロソフィーですよ。
澁澤龍彦ですら見つけられなかった、エピキュリアンが不幸にならない方法。
エピキュリアンが、人生の最後に享受する、あの茫々たる孤独の荒野を避ける唯一の方法、見つけちゃったかもしれないッッッッ!
それは、博愛です。
わたくしは博愛なんてものは、信じていなかった。
何なら鼻で笑ってすらいたかもしれない。
しかし博愛こそが、我々エピキュリアンの、唯一の救いだった、という気付きが訪れてしまいました。
「ちょっと何を言っているのか分からない」
そうでしょうそうでしょう。わたくしも、分からない。
でもなんか、なんか、めっちゃ救われた気がする!!
見よ、パラダイム・シフトは訪れた。
ざんぎりあたまを叩いてみれば、文明開花の音がする。
美帆ちゃんのおかげで、あたまパッカーンしたわたくしは、しばらくは大丈夫な気がします。
美帆こと竹内さんの、のびのびとした演技を受けとめる、玲司こと田中さん
美帆が好きすぎて、美帆を語りすぎましたが、今回どうしても触れておきたいのは、相間玲司を演じた田中涼さんについてです。
田中さんの魅力を語るに当たって、どうしてもネタバレ部分に触れたいので、
以下はネタバレ全開でまいります。
なので、映画かよ。第50話「キューティーブロンド」を見ていないかたは、ここで読むのをやめてください。
以下ネタバレ
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田中さん、爽やかなイケメンなだけじゃない。只者じゃありませんよこのかたは。
田中さんが演じた「相間玲司」は、美帆の服役中の恋人、リッチーと、刑務所で同室だったと名乗る男性です。
美帆は彼に恋しかかるのですが……彼は、ゲイでした。
つまり、美帆ではなく、リッチーをはさんでの三角関係になるお話なのでした。
で、田中さんの玲司が、とても素晴らしい。
女性的な、言葉遣いや服装をしている訳ではぜんぜんないのに、実はゲイなんだ、と聞かされると、あーそーなんだ! 分かる!ってなってしまうのです。
つぶらで澄んだ瞳、すらっと長い首、そしてややなで肩で狭い肩幅に、なよやかな色気が漂っていて、「恋愛対象は男」っていうのが、見ているこちらにすんなりと入ってくる感じがあるのです。
あの独特の雰囲気を、演技で出しているのだとしたら、ものすごい巧みな役者さんだなぁと思うのです。
身のこなしも、とても美しい。
カフェで美帆と向かい合って笑っているシーン、そしてクライマックスで、
「恋人のことを全部知っている人なんて、いないでしょう」
という名台詞を言うとき、膝の上に投げ出している腕の様子が、とてもいい。
美帆役の竹内さんの、のびのびとした演技を、やさしさと、スラリとした水仙のような色気が漂う田中さんが受け止めて、本当に素晴らしい化学反応が起こっていたと思います! この二人、また見たい!
本作で、美帆と確かな友情を築いた玲司の再登場は、大いにありそうだし、「ほんとにまた出て!」と心から思ってやみません。
コミカルで楽しい美帆の恋愛エピソード、皆さまも是非本編で堪能してきてください!