Canary Chronicle~カナリアクロニクル~

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映画や本のレビューや雑感、創作活動や好きなもののことなど。トリッチのあたまの中のよしなしごとを綴ります。

【映画レビュー】映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

亜美ちゃんは大ファンだったあの人とともだちに!

【あらすじ】映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで

道行く女性に、妙にうれしそうに話しかける亜美ちゃん!

「あの、すみません! シネマドモアゼルさんですか!?」
「え?」
「シネマドモアゼルさんですよね!!」
声をかけられた女性は、苦笑しながら答えます。
「知りませんけど」
しかし亜美ちゃんは、
「あーーーーッやっぱりシネマドモアゼルさんだ!!」

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

グイグイ迫る亜美ちゃん!

何と亜美ちゃん、「モカフラペチーノひとつください」と言ったその声を聞いて、自分が愛聴しているポッドキャスト番組、「一昨年マリエンバートで」の語り部、シネマドモアゼルさんだと気付いてしまったのです。

その場では、迷惑そうに白を切り続ける女性でしたが……

次の場面では、亜美ちゃんから「さおり~ん」と愛称で呼ばれる仲になっていました。

シネマドモアゼルことさおりんは、最近悩みがありました。

それは、自宅を延々と映している映像が入っているUSBを、何者かによって毎日送られ続けていることでした。

それは絶対ヤバいやつだ!

心配した亜美は、ミノルや元彼・瀬田にも相談して、さおりんを何とか救おうとするのですが……。

【レビュー※ネタバレなし】映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで

亜美節炸裂! 初期『映画かよ。』を思わせるコンパクトなサスペンス!

はははははは! いやー面白かったぁ!
何度も爆笑しながら観ました!

いいですね。本作も、「これぞ映画かよ。」って感じの作品です。

大爆笑あり、ブラックユーモアあり、おせっかいおたくあり(笑)

今回は亜美ちゃん活躍回です。
まさに「亜美節」炸裂! オレたちの亜美ちゃんは、こんな女!

1分動画で、街中でJOBさんを見かけたときも、亜美ちゃんは躊躇しませんでした。
亜美ちゃんからしたら、JOBさんは、大好きで頼れるお姉様。
何せ亜美ちゃんが観たくて仕方ないのに観る手段がないマニアックな映画の、上映会をしてくれるかたですからね。
そんな彼女に、偶然会えたうれしさを隠すこともなく、ねーねー何やってんですか?とばかりに声をかけまくる亜美ちゃんは、ヲタにしてはコミュニケーション能力が非常に高く、ヲタ友も、非ヲタ友も、大勢いるタイプにちがいありません。

ミノルもそんなとこありますよね。ミノルも、映画業界の中にも外にも、ともだちや知り合いが大勢いるタイプで、いろんな方面からいろんな面倒事を日々持ち込まれまくっている男です。

今回亜美ちゃんは、大ファンであるポッドキャスト配信者、シネマドモアゼルさんを、スタバかどっかで偶然見つけ、「大ファンなんです!」とばかりにグイグイ迫っています。

で、場面転換すると、あれほど迷惑そうにしていたはずのシネマドモアゼルさんを「さおり~ん」と愛称で呼ぶことを許されるほどの仲になっています。

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

いつの間にかマブダチ状態の亜美ちゃん

亜美ちゃんはきっと、相手の懐に入るのがうまいタイプなのでしょう。
しかも、小狡い感じではなく、天性の人懐っこさで、そのような離れ業をやってのけてしまう。

そして、非常におせっかい(笑)。
コールガールのビビアンと知り合えば、コールガールから足を洗わせようとし、今回は、どうやらストーカー被害に遭っているらしいさおりんを、救おうとします。
まさにYouTubeでよく見る「さおりんを救いたい。」な訳です。

そして、18分ちょっとと、本作、非常にコンパクトです。

映画かよ。初期作品のような、コンパクトでブラックユーモアの効いたサスペンスでありながら、初期の頃より明らかに洗練されていて、オールドファンとしてはうれしくなるような一品だった、と、言い添えておくことに致しましょう。

魅力的なポッドキャスト配信者、シネマドモアゼルを演じる三矢遊さん

そして、今回のもう一人の主役、シネマドモアゼルことさおりんを演じるのは、三矢遊さん。
彼女は本物のラジオDJで、映画かよ。の駒谷揚監督、亜美役の森衣里さん、ミノル役の伊藤武雄さん、そしてオト役の谷口亮太さんは、三矢さんの番組に出演したこともあるのです!

mitsuyayu.com

シネマドモアゼルの初登場は、第40話「ファムファタール」です。
樹里を失ったと思ったスズカが、神妙な表情で、配信を聴いているシーンがあります。
このときから、類まれなる美声で、映画かよ。視聴者をも魅了していたシネマドモアゼルが、映画かよ。本編ストーリーに出演してくださったことが、一ファンとして、わたくしはとてもうれしい!
しかも、亜美ちゃんとともだちになるという神展開で、今後も出演し続けてくださるのかも、と、先走った期待が膨らみます!

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

今回、スズカもシネマドモアゼルに会えてうれしそう

というか、劇中劇のように、シネマドモアゼルの「一昨年マリエンバートで」を、堂々展開しまくってほしい!
平たくいうと、わたくしも「一昨年マリエンバートで」が聴きたいということです。
ほんっとに救いのない映画を、「絶対におすすめできない♪」と、美声で紹介してほしい。
聴かされたわたくしは、迷いもせずにその鬱映画の世界へと飛び込んでゆき、身悶えし、観たことを後悔してのたうち回るにちがいありません。

そのような、エクストリーム体験を、わたくしは欲しているのです。

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

トリッチだって「一昨年マリエンバートで」聴きたいお!

今回のクセ強キャラは、男性二人!

興奮して、思わす脇道に反れそうになりましたが、手綱をグイッと引き戻すが如く、本題に戻しましょう。

映画かよ。名物「クセ強助演キャラ」ですが、今回は男性陣がぶっ飛んでいます。

先ずは、亜美の元彼、「ゴーストドクター」こと瀬田祐樹クン。

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

墓場の霊たちにも爽やかにごあいさつ

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

こんなにイケメンなのに……('A`)

彼は、やさしく真面目なイケメンですが、霊能力が強すぎて、デート中だろうが何だろうが、霊から話しかけられたら、目の前のかわゆい彼女、亜美すらそっちのけで、霊を救済しようとする困ったチャンでした。

今回も、墓場には似つかわしくない爽やかさで、颯爽と墓場に現れて、物語の重要なパーツを埋めていきます。

カッコいいので、亜美との復縁はあるのでしょうか。
それは、今度駒谷監督に尋ねてみたいと思います。

そして二人目は、シネマドモアゼルに異様な執着を見せるファン、ゴローネンバーグこと村中力也クンでしょう。

映画かよ。Like in Movies 第49話「去年マリエンバートで」

今回のクセ強大賞はゴローネンバーグに!

もーヤバいwwww
ふつーにこわいし、自分が悪いのに塩対応されて、最後っ屁よとばかりに悪態をついていく憎たらしさ!
靴下のはき方がどことなくファニーなことといい、一度見たら忘れられないクセ強キャラを、澄田壮平さんが怪演しています。
いいですねぇ。断言しますが、怪演あっての映画かよ。です。
むしろ怪演がなければ、映画かよ。じゃない。
は、言いすぎですが、今回はゴローネンバーグ氏のおかげで、
「そーそーそーそー。こーゆーの見たかったのッ」
となったわたくしです。

ファンが居なければ何者でもない?

ゴローネンバーグの話が出たので、わたくしトリッチが「これが今回のお話のテーマかな?」と思う部分について言及してみたいと思います。

しつこいストーカー行為と、シネマドモアゼルが到底受けることのないリクエストをゴリ押しして、シネマドモアゼルことさおりんから塩対応をされてしまったゴローネンバーグは、こんな言葉を投げ付けて去っていきます。

「もっとファンのこと大事にした方がいいと思いますよ。
 僕らなしじゃ、あなた何者でもないんですから」

はあああ?? ナニを言ってるんだお前は????

これ、皆さんは、どー思います????

わたくしは駒谷監督が、以前インスタか何かで感謝の気持ちを述べておられたときに、
「皆さんあっての俺です」
的なことをおっしゃってたのを見たことあるんだけど、そしてそのように言ってくださること、ファンとしてはうれしい気持ちになったってのは本音としてあるけど、

んなこたぁない

と、心の底から思います。
まじで、心の最奥部、奥底から、本気で思います。

映画は、観る人が居てはじめて映画となる。
小説は、読む人が居て、音楽は、聴く人がいて、絵画は、観る人が居て、何々は、何々が、何々、何々……………………

って、全ての創作物について、それもまた真実の一面かもしれないけど、

声を大にして言うけども、

受け手が一人も居なくたって、
創作物は創作物だし、
クリエイターはクリエイターだ。
発信者は発信者だ。
究極言えば、観客はまったく関係ねぇ!!!!

観客が居てくれたらうれしいけど、
観客が、絶対に踏み込めない領域が、クリエイターには、発信者には、あるのだ。

それはオーディエンスのみにとどまらず、
親兄弟子どもだろうが、恋人だろうが、ともだちだろうが、絶対に踏み込めない領域なのだ。

クリエイターや発信者は、自分が生み出すものに対しては、とことん傲慢であっていいと思う。

めちゃくちゃヒットした、アルマーニ・ホワイトの「ビリー・アイリッシュ」っていう曲の中に、

"オレはビッチを手に入れるが、ビッチはオレを手にできない"

ってくだりがあって、おげれつかつ直情的な、この言い草こそが全てだと思います。

youtu.be

おげれつかつ直情的で、傲慢な神であろうじゃありませんか。

絶対シネマドモアゼルは、この考えに、賛同してくれると思うんだ。
彼女もまた「ビッチはオレを手にできない」って思いながら生きることを許された、優れたクリエイターの一人だから。

オレたち神の如く、いい気になって生きましょう。
今日という日も、そしてこれからも。