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映画や本のレビューや雑感、創作活動や好きなもののことなど。トリッチのあたまの中のよしなしごとを綴ります。

【映画レビュー】『エクス・マキナ』2015年

エクス・マキナ』2015年

『エクス・マキナ』2015年

 

エクス・マキナ』2015年:あらすじ

ケイレブ・スミスは世界最大手検索エンジン「ブルーブック」運営会社勤務のPGです。ある日ケイレブは、謎めいた同社の社長、ネイサン・ベイトマンの自宅へ訪問する権利を、社内抽選で獲得しました。連れて行かれた先は、雪山がそびえ、巨大な滝が轟く大自然。ネイサンの自宅はそんな環境に佇む、超近代的豪邸でした。

『エクス・マキナ』2015年

 

ネイサンはケイレブに、秘密保持契約書にサインし、仕事を手伝えと迫ります。実はケイレブが呼ばれたのは、ネイサンが秘密裏に開発しているAIをテストするためでした。そしてケイレブは、この超高性能AIを搭載した美しいガイノイドエヴァと邂逅します――

『エクス・マキナ』2015年

 

【レビュー】得体の知れない大金持ちと美しきガイノイド。どっちもこわい!

いやーーーーめちゃくちゃ怖い映画でした。

まず、ブルーブック社社長ネイサンの、得体の知れなさが怖い。
タンクトップとハーフパンツといういでたちで、飲酒と体を鍛えることが大好きな彼は、一見気さくだけど、到底信用する気にはなれないオーラを放っています。常に酒を煽っていて、どことなく不安定で、しかし非常に冷徹な眼でケイレブを観察しています。向き合っていると、こちらも落ち着きを失ってしまう。

一体何が目的なんだろう。そんな疑問が浮かんでくる相手です。

超高性能AIを搭載したガイノイドエヴァも恐ろしい。
人間らしいテクスチャは美しい顔と手足だけ。あとの部分は金属と、透明なカバーに覆われた剥き出しの機械の体を持っています。動く度にかすかにヒュンヒュンと音がして、電飾が光っている。
非常に魅力的だけど、中身を伺い知れぬ恐ろしさがあります。

そしてふいに現れた、美人だけれど何処か不気味なキョウコ。
この家のメイドなのか、ネイサンの愛人なのか……

『エクス・マキナ』2015年

 

「彼女は英語がか分からないんだ」
ネイサンが彼女を手荒く扱う様子は不快だし、見かねたケイレブが彼女に話しかけても、微動だにせず聞いているだけ。そのくせ、突然無言で服を脱ぎ始め、誘惑するような素振りを見せてきます。うぶで真面目なケイレブは、たまったものではありません。

そしてケイレブは、エヴァが人間らしい感情を持つことが出来るのか否かをテストしに来た訳ですが、自分がエヴァにどんどん惹かれていくのを止めることが出来ません。

ガラス越しに接見し、奇妙な会話を続ける自分とガイノイド

しかし極度に制御されているかのように見える環境は酷く不安定で、何度も何度も停電が起こります。

ネイサンは苛立ちます。「どんなに金持ちになっても、不快な出来事は起こり続けるんだ。クソッ」

『エクス・マキナ』2015年

 

停電が起こり、予備電源に切り替わる度に真っ赤なライトに照らされる室内。そして停電の間中「外部からの侵入を阻むため」という名目で、ドアというドアが施錠され。そんな不穏な状態で、エヴァが告げる不可思議な忠告。

うーん。本当にこれは怖い。一体何を信じたらいいのか……。

わたし自身はクソ真面目な性格であることと、カリスマ経営者であり雇い主、すさまじい頭脳、油断ならない性格の持ち主であるネイサンを恐れる余り、恐らくネイサンに従うと思われます。エヴァの持ち掛けをナイショにする度胸はないなーーー。それはそれでネイサンに抹殺されるなどの後悔する結末が待っていそうですが、それでもじぶんがネイサンの裏をかくことが出来るほど賢いとは思えないので、ネイサンへの恐れを払拭して、彼に反逆する行動は恐らく出来ないなと思いました。

ロマンティックな考えからは、エヴァを信じてみたくなるかもしれませんが……。

それにしても、舞台設定が素晴らしい。
険しい大自然の中にぽつんと存在している超高機能住宅、そして研究所。美しい女性と機械の中間の姿をしたガイノイド。社会からの孤立、秘密裏の研究、諜報的情報収集、そしておぞましい秘密。

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SFはこわいもの、そして悲惨なものであってほしいというわたしの好みにピッタリな、実に素晴らしい映画でした。

あーーーこわ!! おーーーーこわ!!:;(∩´﹏`∩);:

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