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映画や本のレビューや雑感、創作活動や好きなもののことなど。トリッチのあたまの中のよしなしごとを綴ります。

【映画レビュー】『来る』2018年

『来る』2018年

『来る』2018年

『来る』2018年:あらすじ

玄関から居間まで、水を入れた容器をズラリと並べ、電灯もつけない異様な雰囲気の室内。一人の男が、怯えながら何かを待っています。

『来る』2018年

怯えている男は田原秀樹。製菓会社に勤める絵に描いたようなエリート社員です。それなのに、何故このような状況になっているのか……。

秀樹には、イヤな思い出がありました。子ども時代に友達だったあの女の子。
「秀樹も呼ばれるで。だって、あんた、嘘つきやから」
しかし、どうしても彼女の名前が思い出せない……。

そこへ鳴り響く着信音。ヒッと驚き、恐る恐る電話に出る秀樹。 「迎え入れましょう、あれを」女性の声で指示がなされます。怯えつつ、何かを思い出せそうで出せない秀樹。一体「あれ」とは何なのか……。

【レビュー】オカルトヲタ心、そして中二病魂が満たされて大満足!!

以下ネタバレありです。
未見のかたご注意ください!!

いやーーーーー最高でしたね!! ちょうオモロ!!
わたくしの持つオカルトヲタ心、そして永遠の中二病魂が存分に満たされ、大満足おなかいっぱいになりました!!

田原秀樹を演じるは妻夫木くん!!
イイネ!! この人イケメンだけど、こういうドグサレサイテー男とか、汚れ役かなり上手に演じますよねー。

『来る』2018年

妻夫木くん演じる秀樹が、ほんっとにクソすぎてヤバい。
ド田舎出身だけど都会で順調に出世して、身寄りがなくおとなしい性格で、大変に可愛らしい女性、香奈を嫁さんにもらい、かわゆい娘、知紗(ちさ)が生まれる。

で、ブログとか始めて、育メン全開アピールするんだけど、実情はブログに綺麗事ばっか書いて、育児なんてぜんっぜん手伝わないし、それで嫁さんが追い詰められても「母親のくせにこのくらいのこと出来ないの?」挙句の果てには「身寄りのいないお前を助けてやった俺」くらいに思っている。ほんっとクソ男です。

で、秀樹と香奈の結婚式やら、分譲マンション買って香奈が妊娠して、両方のお披露目会をホームパーティ開いてやるんだけど、その様子がほんとにこわい。

結婚式では、みんなそれなりに余興とかやってくれて盛り上がっているかのようだけど、なんかもうドッチラケ感がスゴい。

ホームパーティにも会社のみんなが来てくれるけど、やっぱり盛り上がりは上辺だけだし、実は秀樹は社内の女を食いまくってたもんだから、軽く妻の香奈に当てこすりを言ってくる女なんかもいる。

極めつけは、身重の嫁さんがしんどくなって休みたがっても、「あとちょっとなんだし頑張ってよぉ!」とか言っちゃって、秀樹、気遣いゼロ。ほんとナニこのクソ男???って胸糞悪いことこの上ない。

で、そんな上辺だけのしあわせを満喫してた秀樹ですが、ある日会社にナゾの来訪者があり、そいつは会えずに消えたんだけど、同僚がその日から謎の病気になって怪死しちゃう。

そうこうしてるうちに、様々な怪異が秀樹に襲いかかるようになり、高校時代からの秀樹の親友で、現在は民俗学の准教授をしている津田が、オカルトに詳しいフリーライターの野崎を紹介し、野崎の知り合いのキャバ嬢で霊感持ちの真琴を更に紹介され……という展開になります。

『来る』2018年

クソ男を演じる妻夫木くんの周りを固める役者陣も素晴らしい。

秀樹の妻、香奈は黒木華ちゃん。華ちゃんヤバいわー。
『日々是好日』でも思いましたが、このかたは表情をほんのちょっと動かすだけで、雄弁に心情を物語る素晴らしい役者さんですね。
夫の表面しか知らない野崎が、でも旦那さんは、あんなにいい人で、と言うシーンで、何も知らないくせに、って感じで微笑みながらあざける表情が、心底から恐ろしい。本当にニコッとするだけで、野崎への軽蔑、そして何より夫への渦巻く怨念がダダ漏れになっている。こりゃほんとスゴい女優さんですよ。
トリッチの現在イチオシ女優さん!! 出演作品バンバン鑑賞したいです!!

野崎こと岡田准一、真琴こと小松菜奈も熱演。小松菜奈とってもよかった。メンヘラ気味で生活態度なんかはだらしないんだけど、情にもろくて熱血型のキャバ嬢とってもよかった。

で、真琴の姉で、国家中枢の人間とも繋がりのある凄腕のユタ琴子を演じる松たか子!! 最高!! いいねーーーーーーこういうぶっ飛んだ役もスゲー上手だわ。カッコいいのなんの!! 琴子さまーーーーーわいも祓いのお手伝いしたい!! ソッコー殺されるだろうけど、琴子さまのお役に立ちたいわ!!と中二病全開で思ってしまう素敵な貫禄。ほんと最高。もっとずっと琴子さまを見ていたいので、続編プリーズ!!って心境になりました。

『来る』2018年

そして何と言っても特筆すべきは、逢坂セツ子演じる柴田理恵
イイネ!! 松たか子柴田理恵が、本作では最高によかったわーーーーー柴田理恵すっかり見直しちゃった!! めちゃめちゃ演技いいじゃないですか!!

『来る』2018年

逢坂セツ子は、秀樹などからしたら「以前はうさんくさいテレビ番組によく出ていたおばさん霊能者で、最近はあまり見ない人」という認識の人ですが、実は琴子が信用しているほどの本物の実力者で、肝も据わっている。

秀樹との中華屋さんでのファーストセッションの折に、「あれ」に片腕をぶった切られるという惨事に見舞われながらも、その後も大いに奮闘します。

あなたはもう死んでるのよ、と、某登場人物に諭すシーン、ものすごかったわーー。
派手な演出は何もないシーンですが、ゾクッとします。そして、死んだことに気付いていない霊って、かなしい。

で、クライマックスのちょうぜつお祓い祭りでも、これまためちゃめちゃカッコいい。 あびらうんけんそわか、と唱えつつ、他の祈祷師たちがバッタバッタとやられ、倒れゆく中、ものすごい形相で前進し続ける様は、まさに鬼気迫るものがありました!!
ヤベーーー最高か!!(TдT)

で、このクライマックスのちょうぜつお祓い祭りなんですけども!!
控えめに言って最の高。オカルトヲタ心と中二病魂を鷲掴み!!

琴子は「使えるものは何でも使う」主義なので、流派とか関係なく、実力ある霊能者たちを全国から集めます。
そしてヤバすぎる存在を、最初は「神」として迎えて、おだてていい気分にさせた上で、祓おうとしている。

で、最初にお迎えするのは神道雅楽の妙なる調べと巫女の舞い。ウヒョー!!

『来る』2018年

巫女たちはJKで、準備中はJKらしくキャピってるのに、始まるとプロ中のプロなのがカッコヨス。
で、「あれ」が接近してきたのを、いち早く察知するのも彼女たち。
巫女ちゃんがキッとした表情で顔をあげて「来るよ」って言うシーン、サイコー!!
これはアレですよ。中二病が大好きな、曇った空を見上げて「始まったか……」ってつぶやくアレですね!! ギャヒンギャヒンカッコヨス!! 観れてよかった!!

『来る』2018年

で、次に迎えるのが真言密教の坊さんたち。護摩をガンガン焚きながら、不動明王真言を唱える!!

理にかなってますねーー。ヤベェ存在を調伏するには、何を差し置いても不動明王ですからね!!

で、逢坂セツ子ですけど、最初の方でテレビに出てるシーンとか、中華屋さんでのセッションなどでは、イタコ系なのかなと思ったんだけど、もしかしたらいざなぎ流のシャーマンなのかもしれない。あびらうんけんそわか、いざなぎ流で最も有名な呪文「不動王生霊返し」にも出てくるもんねー。最高。いざなぎ流大好きなんだよねーーー!! ああいう民間信仰ってクッソ燃えませんか。わたくしは燃えますね!! いまから大学に入れるなら、絶対民俗学やっていざなぎ流のフィールドワークに行きたいくらいダイスッキ!!

はあああ。てな訳で、『来る』、最高に盛り上がりました!!

原作から変更した設定とか、わたしもちょっと「んんん??」と思わなくもないし、「あれ」の描き方も、ちょっとモヤモヤ感が残るとこがあるのは認めます。

でもそんな、こまけぇこたぁいいんだYO!!

サイコーにエンタメしてたわーーー最高!!
邦画界、けっこーこーゆーエンタメ撮る力はあるんだわー。もうガンッガン撮ったらいいんじゃないですかね、こーゆージェットコースターホラーを!! ええやんええやん。ちょう楽しかったわーーーー。
クライマックスの、ちょうぜつお祓い祭りだけでも、繰り返し観たいわぁと思いました!

てな訳で、あんまりストーリーとかにうるさくなく、とりまギャースカ盛り上がりたいみんなにはちょうおすすめ!! トリッチはめちゃめちゃ楽しみました!!

オカルトの使い方もよきよき。基本的な知識あっていろいろ混ぜてて興味深い。真琴のリングなんかは西洋魔術だしね。

はーー楽しかった。是非ともあたま空っぽになって楽しんでください!!

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